西野 慎也 Shinya Nishino

― 形態の記憶、土と緑のあいだ ―


西野慎也(樹葉窯)

植物の生命曲線と縄文土器に内在する造形原理を手がかりに、「器」という形象の原初的な記憶を掘り起こす試みを提示します。

器とは単なる実用品ではなく、人と自然、記憶と存在を媒介する、静かなる精神の容れ物であると私は捉えています。

私は長年、土に触れ、火を通し、形に向き合う中で、常に一つの問いを抱いてきました。

「この形はなぜ、ここに現れたのか?」

その問いは、物理的な構造に対する探求を越えて、「存在の必然性」や「かたちの霊性」へと広がっていきます。

本展に並ぶ作品群は、縄文的なリズムを内包しながらも現代の生活に根ざした器物として設計され、植物の棲まいとして、また食の風景の中に置かれることで、観る者の時間と接続することを意図しています。

作家活動と事業経営を両立し、ものづくりを軸に幅広く展開。

中学時代に陶芸を始め、港南高等学校 美術科にてデザインや美術の基礎を学び、嵯峨美術大学では陶芸を専攻。土と対話する造形に魅力を感じ、創作の道を歩み始める。

大学卒業後は、インドを一年かけて周り、ものづくりの経験を生かし衣装製作・販売会社「株式会社ガラムガラム」を立ち上げる。

並行して12年間にわたり、非営利の陶芸の創作活動グループを主宰。講師・会長として多くの人に“ものづくりの楽しさ”を伝えてきた。

近年では、「樹葉(コノハ)窯」を立ち上げ、縄文土器や自然の風合いを生かした植木鉢、風鈴、食器などを制作。販売実績は堅調で、2024年にはアート合同展示会「Earth Line 2024」に出展。

現在は、海外観光客の需要に対応した陶芸体験教室や販路拡大に向けた新たな取り組みを推進中。ものづくりの現場から、国内外へ価値あるプロダクトと体験を届けている。